2021 |
08,22 |
そういえば前にオススメされたなあと思ってアマプラ見てみたら、レンタル価格がなんだか知らないけど驚異の880円とか言われて一旦見なかったことにしたんだけど、そういえばTSUTAYAなら普通の料金なのでは?と思い、旧作レンタル220円で借りてきた。
ジャンルもなんも分からん状態で見たので、てっきり異世界描写は最初だけでなんか現代日本にジャンプするのかなとか思ってたら全然違ってびっくりしたけど、ファンタジー描写でコーティングされているものの、物語のテーマがしっかりと現実の問題とリンクしてるからちゃんと感動も共感も出来る。
イオルフの無限の寿命と若い容姿で強調されてはいるものの物語のテーマはとしては結局、「いずれ別れは必ず来るのに出会いに意味はあるのか」ということであり、さらに言えば「なぜ人は生きるのか」という所に集約される。
体裁的にシングルマザーとなるマキアの境遇は「おおかみこどもの雨と雪」を思い出させるんだけど、あっちはなまじ現実世界で描いたせいでテーマ的にあまり重要ではない外的な(法的なものとか田舎のしがらみとか…)要素が気になりまくり物語が破綻しかかっていたけど、こちらはその部分をファンタジー要素が上手く包みこんでくれて、テーマに集中できる点もよかった。
「存在もしないヒーローの苦悩なんぞ描いて何の意味があるのか」という意見を見ることがあるが、それは比喩と言うものを理解できていないのである。肉体的な成長の無いイオルフは日々の積み重ねを記憶にしか保持できない。人間でいう肉体(物質)の成長の代替として物質的な積み重ねを「ヒビオル」(布)に託しているのだ。
それにしても物語の構成が上手い。幼少期の頃の登場人物であるラングやティダを効果的に再登場させることによって物語に深みを与えている。特にラングはマキアへの淡い恋心やそれが粉砕するまで、そしてマキアに積極的に協力してくれる人物として効果的に役割を果たしていた。
ティダも物語の展開的にエリアルが必ずマキアから「卒業」しなくてはいけなくて、その受け入れ先としてちゃんと役割を果たしていた。ただ、ティダの使い方は上手いと思うんだけど物語の範囲を狭めてしまっているようにも感じる。合う人合う人全員顔見知りというのに窮屈さを感じる部分があるかもしれない。マキアと全く関わり合いの無い女性をエリアルが連れてきていた方が世界に広がりがあるような気がしないでもないけど…個人的にはティダで全然OKです。
マキア、レイリア、クリムのイオルフ三人の人生対比もなかなかえぐい。産むことなくエリアルの「母」になったマキア、産むだけでメドメルを抱きしめることもなかったレイリア、そして一人だけ過去に戻ろうと縋り続けたクリム。
「母」とはなんなのか、エリアルの事を心に刻むマキアと忘れようとするレイリアの描写にすべてが詰まっているような気がする。どちらも「子供」を心の支えにして生きてきたものの、城の屋上で再会したメドメルをレイリアが抱きしめることはついになく、そのまま身を投げてしまう。
冒頭とラストの「ジャンプ」の対比。冒頭では見ているだけだったマキアがラストでレイリアを救う。その描写こそまさに「いずれ別れは必ず来るのに出会いに意味があるのか」の答えなんだろうなと思う。
ジャンルもなんも分からん状態で見たので、てっきり異世界描写は最初だけでなんか現代日本にジャンプするのかなとか思ってたら全然違ってびっくりしたけど、ファンタジー描写でコーティングされているものの、物語のテーマがしっかりと現実の問題とリンクしてるからちゃんと感動も共感も出来る。
イオルフの無限の寿命と若い容姿で強調されてはいるものの物語のテーマはとしては結局、「いずれ別れは必ず来るのに出会いに意味はあるのか」ということであり、さらに言えば「なぜ人は生きるのか」という所に集約される。
体裁的にシングルマザーとなるマキアの境遇は「おおかみこどもの雨と雪」を思い出させるんだけど、あっちはなまじ現実世界で描いたせいでテーマ的にあまり重要ではない外的な(法的なものとか田舎のしがらみとか…)要素が気になりまくり物語が破綻しかかっていたけど、こちらはその部分をファンタジー要素が上手く包みこんでくれて、テーマに集中できる点もよかった。
「存在もしないヒーローの苦悩なんぞ描いて何の意味があるのか」という意見を見ることがあるが、それは比喩と言うものを理解できていないのである。肉体的な成長の無いイオルフは日々の積み重ねを記憶にしか保持できない。人間でいう肉体(物質)の成長の代替として物質的な積み重ねを「ヒビオル」(布)に託しているのだ。
それにしても物語の構成が上手い。幼少期の頃の登場人物であるラングやティダを効果的に再登場させることによって物語に深みを与えている。特にラングはマキアへの淡い恋心やそれが粉砕するまで、そしてマキアに積極的に協力してくれる人物として効果的に役割を果たしていた。
ティダも物語の展開的にエリアルが必ずマキアから「卒業」しなくてはいけなくて、その受け入れ先としてちゃんと役割を果たしていた。ただ、ティダの使い方は上手いと思うんだけど物語の範囲を狭めてしまっているようにも感じる。合う人合う人全員顔見知りというのに窮屈さを感じる部分があるかもしれない。マキアと全く関わり合いの無い女性をエリアルが連れてきていた方が世界に広がりがあるような気がしないでもないけど…個人的にはティダで全然OKです。
マキア、レイリア、クリムのイオルフ三人の人生対比もなかなかえぐい。産むことなくエリアルの「母」になったマキア、産むだけでメドメルを抱きしめることもなかったレイリア、そして一人だけ過去に戻ろうと縋り続けたクリム。
「母」とはなんなのか、エリアルの事を心に刻むマキアと忘れようとするレイリアの描写にすべてが詰まっているような気がする。どちらも「子供」を心の支えにして生きてきたものの、城の屋上で再会したメドメルをレイリアが抱きしめることはついになく、そのまま身を投げてしまう。
冒頭とラストの「ジャンプ」の対比。冒頭では見ているだけだったマキアがラストでレイリアを救う。その描写こそまさに「いずれ別れは必ず来るのに出会いに意味があるのか」の答えなんだろうなと思う。
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