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吉良吉影は静かに暮らしたい

2024
11,21

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2021
07,16
TVアニメは視聴済だったけど、アマプラで総集編前後編が配信終了になるというから駆け込み視聴。無数にビデオがある中で「配信終了」というのは見る動機になるのは間違いない。大筋は覚えていたので総集編は見ないでこれに突入してもよかったかな感はあるけど、没入感だいじ。

話題作だったので、特に情報を集めたわけではないけどプルシュカが実験の犠牲になるという事は事前に知ってしまっており、この作品に似合わぬ彼女の明るさが逆に痛々しい。映画の構成としてああ、こんないい子であるプルシュカを犠牲にするなんて…ボンドルドゆるせん!!という感情がちゃんと芽生える様になっている。

カッタルイことは嫌いなタチなので結論から書くとプルシュカが白笛になる展開、マジでやられたわ…。素晴らしい…本当に素晴らしい……。今思えばプルシュカのカードリッジ化は「過程」だったからあんなにダダ漏れてたんだと思う。

リコが深層に行くためにも、ボンドルドが上昇負荷を克服するためにも、結局必要なのは「命」という部分には注目したい。どんなに綺麗ごとを並べてもプルシュカの「犠牲」が無ければ白笛が手に入らなかったのは事実。もっと言ってしまえばボンドルドへの「協力」も彼女自身は合意していた面もある。リコもボンドルドも本質的には変わらないのだ。本質とは「アビスの先に進みたい」という欲求である。

自分は前知識としてプルシュカのカードリッジ化を知ってしまっていたのだけど、これを全く知らない状態で見ていたとしても「プルシュカはボンドルドに騙されてるんじゃないかな…?」という予想位は誰でも立てていたと思う。そして、これは完全にミスリードとして意図的に用意されていたルートなのだ。

その証拠に「カードリッジの状態になっても意思を持っている」というエゲツない設定もプルシュカが白笛になるためには必須の設定。これは明らかに偶然ではない。

リコが母親の白笛を持っていたのも上手い。先に進むためには命を犠牲にした白笛の入手が不可欠、白笛は持ち主以外では吹けないという説明は中盤でボンドルドから入るものの、「そうはいっても何らかの方法でリコが母親の白笛を継承したりできるのでは?」という選択肢があるから、プルシュカの白笛化まではなかなか思考が届かない。事実、ボンドルドも通常の方法とは言えない方法で白笛を手にしているわけだし。

疑問点が無いわけでも無くて、ボンドルドはプルシュカに特別目をかけていたわりに結局はただのカードリッジの一枚に過ぎなかったという点は良く分からない。自分に「愛情」を抱かせることで通常の10倍耐久性のあるスーパーカードリッジとかにしたのかなとか思ってたけど、そういう描写が明確にあった訳でもなく、プルシュカの特別扱いってなんだったんだろうという気はしないでもない。

しかし、プルシュカのしかけも素晴らしかったけど、やっぱりこの作品のキモはボンドルドだな。どっからどう説明しても完全に狂人・悪役なのにボンドルド自身は自分が正しいと信じて疑わないこの感じ。最高の悪役である。奇しくも個人的に一番好きな敵キャラであるジョジョの吉良吉影と声優が一緒(アニメ版)という点も、何か縁を感じざるをえない。
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