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吉良吉影は静かに暮らしたい

2024
11,24

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2018
01,21
いや、おいちょっと待て…。こ、これ…ロックマンじゃねえか…!?

CMはガンガンやってたので断片的には見たことがあったけど、常にマシュマロみたいなベイマックスがぷよぷよしてるだけで、一度たりともあのアイアンマンマンモードを見たことがなかった気がするぞ…??

もちろん、あの姿を「ネタバレ」と認識するなら当然隠すべきものだとは思うんだけど、この映画はジャンル的に言えば完全にスパイダーマンとかのヒーローものに属するものだと思うので、それを「隠してる」ようなプロモーションはどう…なんだろう…。いや、まあ、ヒロとタダシの絆もこの作品のテーマではあると思うので完全にミスリード、という訳ではないと思うんだけど…。

こんな議論は公開時にさんざんやられたと思うのだけど、結局日本のプロモーターがディズニーでヒーローものをやるのが「怖かった」んだろうね。スタッフはそこに「挑戦」してこの作品を作ったのだと思うけど、商業的視点を持つプロモーターはそんな冒険怖くてできなかった、と。そんであえて兄弟の絆の方に大きくスポットを当てた(というかヒーロー要素は隠した)宣伝を行ったんだろう。興業的には成功していたので、その宣伝方法は結果的に見れば「正しかった」となるんだろうけど、昨日のマッドマックスとは対照的に「思ってたのと違うな…」と思った人も少なからずいたとは思う。

プロモーションはともかく、ベイマックス。とにかくベイマックスが可愛くてカッコイイ。胴体が風船で膨らんでるという事をしらなかったのだけど、あの「キュッキュ」という風船音はすごく可愛い。新幹線ナレーションの様な落ち着いた声も良い。英語版で見たのだけど、吹き替えだとどんな感じだったんだろうか。

アイアンマンモードは強そうだ。物語のクライマックスでも使われる「ロケットパンチ」のカッコよさは別格。空手を取り入れた動きも、ベイマックスのあの体形でやると「動けるデブ」感があってすごくいい。

あとは何といっても、ヒロと一緒に空を飛ぶシーン。あのベイマックスが「空を飛ぶ」というアイデアだけでも鳥肌モノだけど、あの描写はめちゃくちゃすごい。子供の頃にあれを見せられたら、ずっと頭の中に残って離れないと思う。街を縫うようにして飛び回る動き、上昇して橋の先の海まで見通すあの景色。めちゃくちゃ素晴らしかった。やはり「空を飛ぶ」というのは永遠の子供の憧れなのだ。新エンジンを採用したという背景、特に空の綺麗さはすごかった。

マイクロボットも「画期的」感があってよかった。ただあれ、攻撃方法というか発想はスパイダーマンのサンドマンとかNARUTOの我愛羅の砂とあまり変わらなかったりする。

しかし、ストーリーはディズニーにしてはかなり疑問に思うところが多かった。そもそも、あの火事が一体なんで起こったのか良く分からなかった。結局、クレイは悪いやつであることに間違いはないんだけど、あの火事を引き起こした犯人じゃないんだろうし。もちろん、文脈から判断すればクレイが火を放って…というヒロの推察はあり得ることなんだけど、よくよく考えるとクレイがそこまでしてあの技術を欲しがる理由はないんだよな…。

いや、まあ、あそこは様々な新発明のお披露目の場だったので、そのうちの一つが原因で…とか、いくらでも脳内補完は可能とはいえ、ストーリー上の超重要事項が「なんとなく自然に起こりました」はなかなか受け入れられないところがある。

もっと言えば、あの火事が不慮の事故だったとするなら、キャラハン教授も被害者な訳でヒロに恨まれる理由もない。キャラハン教授も火に包まれて「やむなく」マイクロボットをつかったのはしょうがないと思うし、画面を見ている限りでは、タダシが教授を救いに行った直後にラボが爆発してて教授が「見捨てた」とかそんな描写はなにもなかったんだよな…。むしろ、キャラハン教授にしてみればタダシがラボに助けに来てくれたことすら知らなかった可能性すらあるタイミングだった。(のちの葬儀で死んだことは知ってたみたいだけど)完全に逆恨みの様な気が…しないでもない…。

さらに言うとキャラハン教授が復讐を実行するためにテレポーテーション装置を再起動することで、結果的に「娘の救出が行えちゃった」んだよね。「No!復讐」が基本なはずなんだけど、結果的に「復讐してよかった」になっちゃってる。だってあの装置、教授が当てつけ(「失敗」したテレポーテーション装置であえて本社を破壊する)で起動しなかったら永遠に再起動することはなかったんだし。

ぶっちゃけ、「仲間みんなでヒーローをやる」という必然性もかなり薄く感じるんだよな。ただ、これはマジでプロモーションの方向性のせいで、この映画が「ベイマックスと四人のヒーローアクション」!!って認識して映画に入ってれば、ヒーローモードの六人が揃ったところで「待ってました!」ってなるはずが、画面の前のめくるめく展開に「冷めた」目で見ちゃったことは事実としてあるとは思う。ただ、仲間みんなでヒーロをやってる描写自体は楽しかったし、「タダシを失ったヒロには仲間が必要」という要素としては理解できる。

あ、でも「心の中で生きてるって言われたって居ないものはいないんだ!」ってヒロが悲しみにくれるシーンはよかった。いや、実際ほんとうにその通りだと思う。でも、いつかは喪失に決着をつけなくちゃいけない。ヒロも最後はベイマックスの中にあるタダシのビデオで復讐をやめるわけで、あれを見たところで言ってしまえば「タダシを失った」という現状になにも変わりはないんだけど、それを「受け入れる」事が出来た。

言葉の意味を受け入れられるときと受け入れられない時がある、ということ。受け入れられないときは無理をしないでいったん距離を置けばいいと思う。いつか、必ず受け入れられる時が来るのだから。



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2018
01,20
V8!!V8!!

最初のシーン、ビルが倒壊し、大津波に街が込みこまれていく様をみて、ああこうやって世界が崩壊したんだなあと思って見てたら、別の作品の予告編だった。おいいい、ワーナー!!レンタルBDでまで予告編を入れるんじゃない!(それとも、これが普通なのか…??)

こんどこそ本当に本編が始まったと思ったら「という訳で世界は滅んだ」というテロップのみで処理されていて、これはものすごい期待が出来るぞ!という感じだった。そう、こんなところに時間と予算をかけている場合ではない。おれたちはマッドな世界の爆走ショーを見に来ているんだ。

いまさら映画の内容を語るのもヤボというものだけど、とりあえず奇抜なマシンに、ブッとんでる人物たち、砂漠!!女!!ガソリン!!ヒャッハーこれぞ世紀末!!という感じの画面がほぼ二時間ひっきりなしで続いて、「こういうのが見たいんだよこういうのが」という期待は確実に満たされると思う。少なくともこの映画を見ようと思って、この映画をみた感想が「思ってたのと違う」となる事はまずないだろう。

基本的に背景が砂漠しかないのも、逆にメカや人物のアクションが映えるというもの。

ただ、画面の派手さとは裏腹、マックスもフュリオサもどちらかというと冷静なタイプの知性派で行動理念的にはかなり筋が通っているため、ストーリー的にしっちゃかめっちゃかになっている感じはしない。はっきり言ってしまえば、ストーリーラインとしては行って帰ってきてるだけなので、これ以上ないほどの一本道(物理)である。

フュリオサのいう「緑の地」というのはなんかこう…「約束の地」的なもっと象徴的な土地なのかと思っていたらちゃんと存在していたのには驚いたし、途中に通ってきた毒の沼っぽいところが「緑の地」のなれの果て、というオチも普通にビックリした。

というか、映画の基本構成として3/4を超えたあたりで主人公たちに最大のピンチが訪れるものなんだけど、私はこの映画において「主人公たちの最大のピンチ」というのは「車(ウォー・リグ)を失う事」だと思っていたので、失うのが「目的地」というのがビックリした。(というか、そもそも「目的地」は曖昧でずっと走り続けるものだと思っていた)

でも、やっぱり「逃走」を続けるのは不可能ということ。やはり敵とは「対決」し倒さねばならないのだ。通る道は同じだけど、その道を通る意味合いは前半と後半ではまるで違う。この時点でフュリオサの故郷で合流したばあさんズが加わって戦力もアップしていたのは非常に大きい。

ジョーの五人の妻はそれまでの登場人物とは明らかにパッと見ただけで「別格」な美人(というか生活環境が整ってたというのが大きいと思うけど)が揃っていて、これはジョーが必死に取り返しに来るのも分かるな…という感じで非常によかった。あと、砂と油にまみれた世界でもマックスの周りはこの五人の美女(とフュリオサ)が揃っていてFF5の様なハーレムパーティだったのもちょっと面白かった。

中盤からパーティに加わるニュークスくんはものすごい重要人物だ。最初はマックスを水筒がわりに持ってきた敵として登場し、ジョーに狂信的に忠誠を誓い、裏切られ、真実の愛(ぬくもり?)を知り爆散する…というこの映画のアンコウ(皮も肉も内臓も全部おいしく頂かれる)ポジションだ。孤高すぎるきらいのあるマックスやフュリオサよりも一番人間味にあふれていたのは彼だったと思う。

この映画は本当に説明がなくてほとんどが「考えるな感じろ」で構成されている。それゆえのスピード感というのも確かにあるし、それだけ画面で「世界観」を見せているという自信もあるのだと思う。(実際問題、それで成立しているのだからすごい)

フュリオサの義手という超重要要素もほぼスルーだ。もちろん、攫われてきたフュリオサが大隊長までになったのだ。それは筆舌に尽くしがたい苦労があったんだろうな…という事があの義手から伝わってくるのだけど、普通、こう…なんか…語りたくなるのが人情というものなんだけど、それらを全てのみ込み、駆け抜けたのがこの映画なんだ。

マックスのフラッシュバックもなにも解決しないまま終わった気がしないでもないけど、あれは…こう…過去作を見ていないのが悪いのではないか…という気がしないでもないので、そういうことにしておこう…と思う。
2018
01,14
ディ、ディズニー~!!!!なんちゅうもんを見せてくれたんや…なんちゅうもんを…。

最初(パッケージ)の印象で「がんばりウサギとニヒルなキツネのバディもの」なのかな、と思ってたんだけど(その要素もあるんだけど)、それだけにとどまらない、さまざまな要素が詰まった作品だった。しかも、その要素が全部複雑に絡み合ってるのに総合的に味わうと「おいしい」になってて、高級ホテルのソースみたいな仕上がりになってた。

バディものの味だってするし、がんばりジュディの女性活躍奮闘ものの味もするし、偏見や差別などの社会問題の味もする。色んな味がするんだ、この映画…。

「アナ」を昨日見たのでどうしてもいろいろ比較して見てしまうんだけど、「アナ」は登場人物を絞りまくって展開をシンプルにしてたのとは逆に、ズートピアはいろいろな人物、場面が登場する。これはもちろん意図的で、ズートピアにはいろいろな動物たちが居て生活している、という世界観の説明も兼ねているんだ。「アナ」は基本的に人間しか登場しないのでこれをやる必要がない。だから人物は絞る。絞った方が貴重な時間を特定の人物にそそぐことが出来るからだ。いろいろなエリア、動物を見るのは楽しくてワクワクする。氷に閉ざされたアナは割と画面的には不利な状況で戦っていたんだな、ということが分かる。

「Try Everything」もいい。これこそ、本当に応援歌というかポジティブが詰まった歌だなと思う。上手く行かないことばかりだけど、失敗することもあるけど、それでも頑張っていこうと明るく歌い上げるのがいい。でも、日本語訳は「TRY」が「やるのよ」になってて、聞くたびに「わかるわ」って言ってる川島さんの顔が浮かんで来てしょうがない。

肉食(大型)動物たちの偏見(チビなウサギに警官はムリ)に晒されてきたジュディも、肉食動物たちに対して本能的には襲おうとしてるのではないかという「偏見」を晒してしまうあの会見は歌の中にあるような「失敗」なんだけど、あれは強烈だった。これまで偏見に憤っていたジュディの怒りが自分自身に帰ってくるという強烈なカウンター。パートナーのニックを失うほどの破壊力。

展開上、キャラに「やらかし」をさせたい時というのはあるんだけど、あの会見は意図的な「やらかし」には全然見えなかった。実際にジュディは子供の頃に暴れキツネに暴力を振るわれているわけだし。(というところまで書いて気が付いたけど、だから田舎に帰った時にあのいじめっ子キツネに謝罪させたのか…なるほど…)

ジュディがバッチを取って帰省してた時間って劇中だとマジで5分に満たないと思うんだけど、その間で「実家に帰ってからの無為な時間(これが一番すごい)」「過去のいじめっ子キツネからの謝罪」「事件の手がかり及び矛盾点(「夜の遠吠え」の存在と、これの影響は肉食動物のみではないということ)」という重要要素がぎゅっと詰まってて鳥肌立った。

特に「無為な時間」の表現がすごくて、結局「実際の経過時間」とみてる側の「体感時間」の間には差があるんだけど、物語の間には「そしてしばらく後」を表現したい時がどうしてもある。これがないと、出来事が立て続けに起こって「なんか畳みかけるみたいに終わってしまった」という印象をあたえてしまう。スピード感を重視しているときはこれでいいんだけど、この場合、ジュディは自分の失言を反省して頭を冷やすクールダウンの「時間」が必要だった。それを実時間では「5分」で済ませているんだけど、あの「実家に帰って無為に過ごしました」という時間の体感は数日~数週間、もっと言っちゃえば数カ月くらいの時間の経過を「感じる」ことが出来た。この余白の時間というのは本当に大切で、これがあるから物語に「時間の厚み」が生まれるのだ。

あっ、それでそうか、ジュディが「いじめっ子キツネを許す」ということが、ニックがジュディの失言を「許す」ことに繋がってるんだ。過去の過ちはある、でもそれを「許す」ことが大切なんだって言ってるんだ。

副市長黒幕うううううう~!!!!!!お、おめえ~!!二日連続(ハンス君)でこんな裏切り見せられたら人間不信になるわ!

まったく意識してなかったから、今回もしてやられた…。あの、野生を取り戻させる毒薬作ってる工場にいるのが「羊」って言われるまで全く、疑いもしなかった。完全にズートピアを楽しんでしまった…。最高だぜ…。

副市長は途中まで捜査に協力的(カワウソ捜査に加わることを推進したり、監視カメラの映像を見せたり)なんだけど、あれはそうなんだよな。真の黒幕である副市長としては市長が「野性に目覚めた動物を監禁している」という失踪事件の「偽の真相」(「偽」というよりも真相の途中と言った方がいいか…)にまでは早く辿り着いてくれないと困るんだ。

市長の副市長に対する傲慢な態度もすべてはこの黒幕展開に繋がっていたんだな…。ライオンの市長はわりと市長としては立派に勤めていたと思うんだけど、成り行き上、監禁していたことは事実なのでたぶん、最後市長に戻ったとかじゃなくて普通に牢屋に入ったままだったぽいよな。ちょっと可哀想だな…。

「偽の真相に辿り着いての一件落着」→「ジュディの失言(真の真相が分かっていないための無知と偏見ゆえの発言)」→「コンビ解散、警官やめて田舎暮らし」→「ヒント、過去の清算を経て復帰」→「黒幕を暴いての真相解明」。美しい。流れが美しすぎて感動するわ…。

そう、物語そのもの、テーマや人物のやりとりにも感動するんだけど、こういう美しい物語構成にもすごい感動するんだよな…。キャラの上手い使い方とか、伏線の使い方とか…。

ズートピア、基本的に大満足なんだけど、一個だけジュディが駐禁の仕事をイヤがってるのは微妙なんだよな…。別にどんな仕事だって一生懸命やればいいと思うし、駐禁だって大事な仕事だと思う。「職業に貴賎なし」とは思うものの、ここは何らかの解釈の違いがあるのかもなあ。

(追記)
ジュディの駐禁のことずっと考えてたんだけど、あれは「駐禁がイヤ」というよりも「ウサギには駐禁くらいしかできないだろう」とナメられてたのがイヤだったんだろうなあ。きっと駐禁の仕事であっても劇中であったみたいに「君の耳を生かせる」とか言ってくれればちゃんとジュディも納得して勤務してくれたんだと思うな。 ふう〜、唯一引っかかってたところが解決してスッキリした。
2018
01,13
っべー!!ディズニーまじやっべえわ…。

とにかく全ての要素、展開、キャラに全く無駄がなくて寒気がするほどの完成度だった。こえー。なんだよこれ…。

冒頭で仲の良い姉妹、雪だるま(オラフ)、エルザの能力、事故、「あっぶねー!頭だったからよかったけど、心ならやばかったわー!!心ならやばかったわーー!!!!」とご丁寧に最終伏線を張ってくれるトロール、エルザとアナの離れていくさま、両親の死亡、エルザの戴冠などなどの展開が矢継ぎ早に行われて舞台説明が完了していくんだけど、めちゃくちゃ見やすくて分かりやすい。

最初の方ですでに見てる側にちゃんとエルザの「自分ではどうしようもならない能力によるアナとの望まない不仲」という同情ポイントが描かれており、基本的に「エルザとアナ可哀想」という感情を抱かせることに成功していて、これだけでも掴みとしては成功している。

ハンス君と爆速で婚約を決めるアナ。ちゃんと一応アナがいままであまり出会いがなくて男慣れしてなくて、パーティの出会いに期待していたという理由もあるし、なにより創作上の恋愛であれば登校中に遅刻遅刻~!と走ってる最中にぶつかればフラグは立つものなので、まあ、そういうものかな…アメリカだし。とも思ってたんだけど、クリストフの反応を見るにさすがにアメリカでも出会って当日に婚約を決めるのはおかしかったみたいですね…。アメリカすまん。

エルザが氷の城にこもった原因も元をただすとハンス君に辿り着くようになっているし、本当に無駄がない。というか、ハンス君が序盤のヒーロー、アナ不在中の城の運営、最後の悪役…となんかもう肉も内臓も皮も全部おいしく頂かれるアンコウの様な使われぶりで、この作品のMVPは間違いなく彼である。

いやまあ、分かるよ?そりゃねえ、そりゃあそうなるよ…。最終的にアナとくっつくのってクリストフなんでしょ?ってそれはわかる。でも、それはそれとして最終盤までのハンス君にはなんの落ち度もなくて(無いどころかかなり高い好感度が維持される)、一体どうやってハンス君からアナの恋人の地位を奪うのかな…と思ってみてたら、まさかの悪落ち。

これにはビックリした。しかも、アナとの出会いの時、お互いの事を知り合おうとする会話で「兄弟が12人いる」という伏線をさりげなく滑り込ませる手腕…!うめえ…うめえよ……。

そのハンス君から一切の臭みを消すように、隣にもっと臭いキャラ(ウェーゼルトン公爵 )を置いておくという手法もものすごい…。ウェーゼルトン公爵、アナに出会いの時点でウザ絡みをした罪で自国の貿易がご破算になるというすさまじく可哀想なキャラだった…。エルザ暗殺も、本当にこんな気候が永久に続くようならやむなしな判断だと思うし。というか、結局言い方なんだよな。ハンス君だって最終的にエルザ暗殺を提案してるわけで、しかもあの時点では皆に受け入れられているし。積極的に殺しにいったのがマズかった。「やむを得ないけど…」みたいな感じで提案すればいけたはず。創作とはそういうものだ。

「真実の愛」も、ハンス君→クリストフ→エルザとどんどんキャラが置き換わっていって上手かった。えっ…これ…クリストフ慌てて戻ってこなくても良かったんじゃ…とか思ってはいけない。実際問題、あそこでクリストフが戻ってこなかったら、アナは外に出なかったわけで、そうするとあのタイミングでエルザをハンスの暗殺から救えなかったので、ちゃんと意味はあるんだけどね。…あるんだけどね。

「真実の愛」は別に異性からの愛のみではない、というオチもわりといいと思うのであれはOKだと思うなあ。

あと、唯一不満があるとすれば、オラフが最終的に魔法でおk状態になったのももったいなかったかな…。彼のキャラクター性を考えれば「夏に憧れるものの、夏が訪れると溶けてしまう」という所が魅力なのであり、溶けてこそ完結するとも思えるんだけど、そこは…真実の愛の奇跡でなんとかなったのかな…。物語を完璧に遂行する職人の様な印象のある映画なんだけど、ここだけはウェットよりの展開だった。

で、だ。この映画と言えば「ありの~ままの~」のあの歌なので、さぞクライマックスのいいシーンで流れるんだろうな~と思って見てたら、わりと中盤より前で流れ始めて「あれっ??」って思ってたらエルザが山に氷の城を建造し始めて、「何物にも縛られずにここで生きていく」的なことを言い出して、お前…ありのままって…ありのままってそっちかよ!!なに悪落ちしてんだよ!!って感じで爆笑してしまった。
あの歌、全然前向きな歌じゃなかった。むしろ完全にダースベイダー誕生シーンに流れる帝国のマーチだったよ!
2018
01,08
とにかくお祭り感が素晴らしくって、これぞTVシリーズの劇場版!という感じだった。

最初の大洗女子&知波単VS聖グロリアーナ&プラウダ高校のエキシビジョンマッチからすでに盛り上がりが最高潮で、聖グロリアーナ単体が相手なのかなと思わせておいて、カチューシャ参戦、「聖グロリアーナ&プラウダ高校」の図式が出来上がった時のテンションの高まりはすごかった。出だしとしては満点だった。

本編のVS大学選抜はおそらく、最初から劇場版のコンセプトとして「大会で出たキャラを全員集合させたドリームチームで戦う」というキャプテン翼のワールドユース編みたいなことをやりたくて、そこから組んでいったんだと思う。

降って沸いたような強引な廃校設定をもう一度持ち出されたことも、あれがあったからこそ他の高校のキャラが大洗女子に「転校」してくるなんていう大技を使っても、「あっちも無茶を言ってきてるんだから、こっちも無茶をやっていいだろう」という理が成り立つ。…ように感じるのだ。ただ、「ように感じる」というのはとても重要なことで、これさえあれば本当は理屈が通っていなくても許されるのである。創作とはそういうものだ。

後半一時間丸々すべて戦車戦に使われている(前半のエキシビジョンマッチも考えれば、約二時間の上映中、実に一時間半が戦車戦の描写だと思う)この大胆な構成から「映画館のでかいスクリーンで迫力の戦車戦を見てほしい」という熱い心意気がひしひしと伝わってくる。ちゃんとTVと劇場版の違いを意識した素晴らしい構成である。「ネタ」で勝負するのではなく、画面で勝負しているので、「あの場面が見たい」と多くのリピーターが発生したのも納得である。

島田愛里寿ちゃんのキャラも素晴らしい。なんと言っても彼女はTVシリーズで散々キャラを立てた屈強なガルパンキャラたちにたった一人で立ち向かわなければならないのである。「ドリームチーム展開で一番困るのは敵キャラ」だ。大学選抜の三幹部っぽいキャラはいたものの、ネームドはほぼ彼女一人。普通に考えればかなり不利ではあるが、「西住流」に対抗できる「島田流」、飛び級大学生、ポゴが大好き…などなどの要素をてんこ盛りにして急造ながらもかなり頑張った結果、ちゃんと相手にとって不足なしのキャラに仕上がっていた。

愛里寿ちゃんはマジで相当がんばったと思う。でも、(時間的に厳しかったとは思うけど)あと一人くらい大学選抜にもネームドが居ても良かったかな…と思わなくもない。誰かのお姉ちゃんとか。

あと、エキシビジョンマッチで足を引っ張りまくった西さん始め知波単学園の方々の活躍が…ちょっと少なかったな…という気がしないでもない。まあ、むやみな特攻をやめたのは進歩と言えなくはないんだけど、エキシビジョンマッチであれだけ「タメ」を作ったのに、それを発散する場面がなかったのは惜しかったかなあ。

個人的には、むやみな特攻をやめたけれど、ちゃんと最後は「効果的な」特攻を西さんがかまして、知波単学園の戦車道を見せつけてくれても良かったかな、と思った。

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