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吉良吉影は静かに暮らしたい

2024
05,06

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2021
06,24
いや、すまん…めちゃくちゃ面白かったわ…。

なんだかんだ言ってもう半世紀も前の映画、いまの観点で見たら厳しい面もあるのでは?と思ったけど、全然そんなことなかった。色褪せない名作ってこういうのを言うんだな…。

冒頭、スカートの中で靴を直すアン王女のキャラ立てがもうすごい。これ本当に半世紀前??今でも全然通用する手法。あのたったワンシーンでアン王女の気品に溢れる外側の振る舞いと親近感を覚える内面を一気に表現している。

恋愛映画における一番大切なことは「ヒロインを好きになってもらうこと」。もう、これ以外にない。愛着もなんもない、生きようが死のうがどうでもいいキャラの恋愛に興味を持て、というのが無理な話で、ヒロインのキャラ立てを開始10分以内に速やかに行わなければならないという鉄則を忠実に実行した形だろう。

しかし、このヘプバーンの気品のあるお顔はすごい。これで「ただの寄宿舎の生徒です」と言われても無茶言うなという感じだけど「お忍びでお城から逃げてきた王妃です」と言われたら納得するしかない。記者役のグレゴリー・ペックも超カッコいい。美男美女は鼻に付くという側面もあるけど、ここまで突き抜けられるとまさに「映画」という非現実的な物語の世界に入り込める感じがする。

デートで色んな名所を回るけど、トレヴィの泉のシーンが良かった。なんというか、ここが!!「トレヴィの泉」!!です!!みたいにバーンと出すんじゃなくて、こう…角を曲がったらなんか有名な場所じゃない?ここ??みたいな感じで自然に出てくる所が良かった。まるで、自分もローマを散策しているような、そんな気分にさせてくれる。奥の方で子供がトレヴィの泉の彫刻に捕まって遊んでたりして、時代のおおらかさを感じたりもする。

最後のインタビューのシーン、狭いブラッドレーの部屋と対比するかのような広々とした部屋で「記者」と「王女」に戻ったブラッドレーとアン王女。お互い言葉を交わすことが殆ど出来ない状況での表情のみの「会話」が切ない。インタビューが終わり、記者が次々と引き上げていく中で最後まで残るブラッドレー。そしてアン王女が消えた方向を見つめたあと、彼も部屋を去っていく…。

いや、思ったよ??まさかここ、アン王女が引き返してきてブラッドレーと抱き合ったりするんじゃないかな?ってちょっと思ったよ??いやだって、ここのシーン「そう思わせる」ためのシーンじゃん!?いや、でも、でも、でもなんだよ、そう、ここでだよ、ここでアン王女とブラッドレーが抱き合ってるような作品なら伝説になってないんだよ。ここで別れるからこそ、あの思い出がアン王女とブラッドレー、そして観客の中にだけ残ってるからこそ、ローマの休日は傑作なのだ。

アン王女は今後も皇族の務めを果たし、やがてどこかの王族と結婚もするのだろう。しかしもうワガママやヒステリーを起こすことはない。なぜなら彼女は心の中に永遠に消えることのない「思い出」という宝物を得たからだ。どんなに辛い事や苦しい事があっても、あのローマの一日を思い出せば勇気と希望が湧いて乗り越えていける、一生の思い出とはそういうものだ。

誰の中にもある特別な思い出、「ローマの休日」という映画はそれ自体が誰かの思い出になっているような、そんな作品だった。
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