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吉良吉影は静かに暮らしたい

2018
12,30
年末年始のドタバタで感想を書くのが遅れてしまったのだけど、30日に滑り込みで見に行ったので、この作品が2018年度最後の映画になった。映画を意識して見始めるようになった今年、「シュガー・ラッシュ」で受けた衝撃はそれはもう計り知れないものだった。これがシナリオ、これが映画なんだと強く感じた。そんな「シュガー・ラッシュ」の続編で2018年を締めくくる、完璧な布陣。まさに「約束された勝利の剣」(エクスカリバー)である。

…はずだった。

やりたいことは分かる。それまでのゲームセンターの(ランキングとかがあるとはいえ)オフラインゲームの中にある「繰り返しでしかない日々」がオンラインに接続されたことで世界が広がり、ヴァネロペは新しい夢を見つけるものの、現状に満足しているラルフ(彼の「満足した現状」はヴァネロペ無しでは少なくとも冒頭時点では成り立たない)と望まぬ対立が生まれる…ということだ。

なるほど、スタンドアロンのゲームとオンラインゲームの設定をこうやってストーリーに落とし込むのか、と上手い部分はもちろんあるのだけど、それを潰してあまりあるのが話運びの残念さだ。ストーリーラインがほぼ一本道な上、キャラの「やらかし」(最善とは思えない行動)で話が進んでいくので行き当たりばったり感がすごい。もちろん、一つや二つの「やらかし」は当然起こるし、全て最善の行動を取るというのもそれはそれで違和感があるのだけど、あまりにも「やらかし」で話が進みすぎているように感じた。

そもそもの発端であるハンドルの故障もヴァネロペがプレイヤーを無視して行動したルール違反が元だし、無意味なオークションの値上げ合戦によるハンドル価格の高騰、極めつけはラルフのコンピューターウィルス撒き散らし。どれもがあまりにも行き当たりばったりに見える。

コンピューターウィルスの下りは特にひどい。そもそも「コンピューターウィルスを撒き散らす」という発想と展開がすでに「ありえない」レベルなのだけど、ヴァネロペの脆弱性を「バグ」として認識するのはともかく、ラルフの「精神的に不安定」な部分を「バグ」として認識するのはさすがに筋が違う。話が無理やりに展開していくので、まったく気持ちが乗れずにラルフが大量発生しても巨大化しても、もはや心に響くものはなにもなかった。これは意図的なものがあると信じたいけど、結局最後も巨大ラルフが浄化されただけで大本のコンピューターウィルスはネットの海に消えており、全く解決していないのである。

その場その場の展開だけで話が進んでいくから、ストーリーに膨らみが生まれない。ストーリーに膨らみがない代わりに何で体裁を整えているのかといえば大量のゲストキャラや現実にもあるウェブサービスそのものの描写、YouTubeのパロディだ。

予告編からすでにディズニーキャラの総出演(特にプリンセス陣)は本作の「目玉」として扱われていた。そう、この映画はシナリオを一部の隙もなく練り上げて来た「シュガー・ラッシュ」の続編として見てはいけなかったのだ。ディズニーキャラ総出演のお祭り映画として見るべきだったのだ。

この「映画を見るにあたっての心構え」というのは重要で、今回の「シュガー・ラッシュ:オンライン」も「いろんなディズニーキャラが見れるらしいから楽しみ~!」と思ってた人は、実際色んなキャラも出てくるし、なんならHIKAKINとかも(声だけだけど)出てきて楽しい気持ちで劇場を後に出来たと思う。

それにしても、HIKAKINはマジですごい。いや、もちろん日本では有名なのは言うまでもないけれど、ピクサーをして「YouTubeで動画を上げて稼いでいる人間といえば彼」と認識しているのだ。本物のワールドワイドがここにあった。

最初にも書いたけれど、「シュガー・ラッシュ」と「オンライン」の相性は決して悪くなかった。範囲をゲームから広げ、「インターネット全体」としてしまったのが敗因だったように思う。インターネットならインターネットそのものをテーマに据えて作った方がよいものが出来たと思う。

あまりにも惜しい2018年度の締めとなってしまった。抜いた剣はエクスカリバーではなく、エクスカリパーだったのだ。
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